後日談 あのお兄さんとの対戦の後、くるみとアリスはある入浴施設にいた。 もちろん、入浴料はアリスの奢りだ。 入浴の前 この入浴施設の食堂でアリスはくるみにチョコレートパフェを奢った。 先程の対戦のお礼だ。 二人は広い湯船に浸かりながら先程の戦いの話で盛り上がっていた。   「くるみちゃん さっきの技はな〜に? 私がいつも負けていたあのお兄さんを簡単に撃破したけど」 「知りたい? じゃ アリスちゃんだけにあの技を解説してあげる」 「うん 私 知りたいよ スペルカードとかいろいろな言葉が出てきたから未だに頭の中がこんがらがってる」 アリスは興味津々でくるみの話に耳を傾けた。   「アリスちゃんは自分が『東方怪奇談』のゲームキャラクターだということを認識してるんだよね」 「うん くるみちゃんも自分自身のことをそう思っているの?」 「もちろん 今までいろいろなシューターと戦ってきたけど、さっきのお兄さんは難敵だったね あの神霊廟を最初のゲームで全クリしたとか言っていたから 私もあのお兄さんに打ち勝つために『禁断の技』を使ったわ」 「禁断の技?」 「そう 『禁断の技』 わかりやすくアリスちゃんに説明すると『東方怪奇談』のゲームプログラムのバグを突いたものよ つまり 強制的に横一列の1ビットの隙間のない弾幕をあのお兄さんに放出したの」 「ふ〜ん 私 難しいことはわからないけどくるみちゃんが私より凄いということがわかった」 「アリスちゃん 私を褒め称えてくれてありがとう もちろん この『禁断の技』を東方のゲームキャラが使うのは禁じられているわ」 「へ〜 あと もう一つ くるみちゃんに質問で〜す どうやって東方幻想郷のゲームキャラであるくるみちゃんがこの『怪奇談』のゲーム世界に入ることができたの? 私 くるみちゃんが本当に凄い女の子だと思ってる」 アリスは不思議そうな顔でくるみの顔を眺めた。 「それは簡単なことよ 自分がゲームキャラであることを認識することが出来れば他のゲーム世界に入ることなんて容易いわ アリスちゃんも私のいる東方幻想郷に入ろうと思えば入れるよ 自分自身がゲームキャラであることを認識しているならばね」 くるみはそう言うと湯船から上がった。 「あともう一つ アリスちゃんに教えておくね あの『禁断の技』を使ったゲームキャラはね 使った後にシューターから忘れ去られることになるの つまり 私が使ったから私はみんなから忘れ去られるわ 実際 東方旧作に『くるみ』という吸血鬼の女の子がいたなんてみんな忘れているしね 私はみんなから忘れ去られてもいいと思ってる でも忘れ去られてもいいから自分自身の存在は認識したいわ」 くるみはそう言うと脱衣場の方に向かった。 (おわり)